[寄稿]政治家の誠実さ



 日本では、通常国会の会期が延長されて、国民にとっての必要性や有益性が不明な法律を与党は数の力を頼みとして次々と成立させている。たとえば、IR(統合型リゾート整備)法案は、日本にカジノを開設するための法案である。政府は成長戦略の1つとして、カジノが必要だと強弁している。しかし、カジノのもうけはばくちで損をした人の金である。そんなものが成長戦略だと言われると、日本もそこまで落ちぶれたのかと悲しくなるが、政府は成立に全力を挙げると言っている。また、働き方改革法も成立した。長時間労働の規制は必要だが、この法律の狙いは高度プロフェッショナル制度の導入にある。これは一定収入以上の専門的職種について、所定労働時間という概念を廃止し、仕事量に応じて賃金を払うことを可能にする制度である。使用者が多くの仕事をあてがい、残業代なしで長時間労働をさせることが懸念されている。

 こうした立法の過程に共通するのは、政府側のきわめて不誠実な態度である。働き方改革法案の起草に当たって厚生労働省がその必要性の根拠として挙げたデータは捏造されたことが明らかになった。また、厚労大臣は高度プロフェッショナル制度が必要だとする労働者の声を聴いたと説明したが、法案提出前にインタビューした労働者は一人だけだったことも明らかになった。家族を過労死で失った人々がこの法律はただ働きの長時間労働を助長すると抗議し、首相との面会を求めたが、政府は取りあわなかった。

 今の日本では、国会審議は民主主義国家という外見、体裁を整えるための儀礼でしかない。首相や閣僚は野党の質問に対してまともに応えず、時に閣僚席から野党議員にヤジを飛ばすことさえある。そして、一定の質疑時間が経過したら、法案の欠点に対するどんな的確な追及があっても採決される。誠実という美徳が日本の政治からは失われた。

 隣の芝生は青く見えるということわざが日本にはあるが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を見ていると、その誠実さは外国人にも伝わってくる。彼の今までの多難な経歴があのような顔や言葉を作ったのだろう。そして、誠実な政治家を作れるかどうかは、国民が民主政治にどれだけ真剣に取り組んだかにかかっているとも思う。政治家の虚偽や欺瞞に対して、無駄なように見えても抗議の声を上げ続ける国民の存在があるからこそ、政治家は国民に対して誠実に向き合うようになる。

 権謀術数が渦巻く政治の世界で、誠実さが有効な武器になるのか、裏切られるもとになるのか、マキャベリ以来の論争がある。東洋には、信無くんば立たずという言葉がある。政治家が国民に対して誠実に語り掛けることは、国民自身の中に国の命運を真剣に考えようという熱意やまじめさを創り出すという効果を持つ。日本ではこれからも当分安倍政治が続きそうだが、政治家の欺瞞や嘘を許さないという国民の側からの声を絶やすことのないよう、諦めず、粘り強く、民主政治を支えていかなければならないと思う。

山口二郎・法政大学法学科教授

【ハンギョレ新聞日本語版】http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/31055.html


こんな者が将来を担う日本の若者に何を教えるのか?
本当にアノ国が羨ましければ移住すれば良い。
この人のようにアノ国が良い、羨ましいと発言した者が
実際に移住したという話も聞いた事がありませんね。
誰か一人ぐらい行動に移してみては?

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