「解決済み」のはずがなぜ? 韓国・徴用工問題から考える“史実”と“対応”



歴史問題としての難しさ
歴史問題は、日本がアジア各国との関係を強化する上で喉に引っかかったトゲであり続けている。その中で、今後注目を浴びそうなのが徴用工問題だ。戦前から戦中にかけて、日本は労働力不足を補うために朝鮮半島をはじめとするアジア各国から労働力を移入した。これらの労働者に対してなんらかの補償が行われるべきか否かとするのが歴史問題としての徴用工問題である。

「戦争を終わらせる」ということ
戦争は、人間が生み出してきた最大の不幸である。それ故に、人間は戦争をいかに終わらせるかということについても歴史を積み上げてきた。17世紀に近代的な国際法の概念が生まれてから400年近くが経過する中で、確立されてきた原則が国家主導による一括した請求権の処理という方法である。戦争に伴う被害を平時の損害と同じ方法で処理するとすれば、いつまでも戦争を終わらせることができなくなってしまう。

というのも、平時の民間のものさしを当てはめては、不都合なことがいろいろと起きてしまうからだ。例えば、日韓の関係では被害を受けた韓国人も多くいるのは当然だが、被害にあった日本の民間人も多くいる。合法的に韓国内で財産を築いた日本人の多くが、敗戦に伴って帰国を余儀なくされ、財産権に大きな侵害を受けたことも事実。平時の民間の理屈に基づけば当然補償を受けるべき被害が存在するにしても、それを言いだしたらキリがない。国家間による一括処理以外に戦争を終わらせる方法は乏しい。

韓国国内の構図
1965年の時点で日本政府は、請求権の問題を処理するために韓国に対し5億ドルの補償をしている。この金額の使途を決定したのは韓国政府だ。韓国政府には、それを徴用工や慰安婦の方など、戦争の被害にあわれた方に分配する選択肢も当然あった。しかし、当時の朴正煕政権の最優先課題は経済復興であり、そこに資金が注がれた。結果的に、韓国はベトナム戦争での米軍への協力の対価と相まって「漢江の奇跡」とも言われる経済発展を実現した。そこでは、インフラ整備その他の点で日本政府からの補償が貢献した。したがって、被害者個人への分配を優先しなかったのは韓国政府の国益を踏まえた判断だったわけだ。先般、大統領職を追われた朴槿恵氏は朴正煕の娘であり、韓国の保守派にとってはこの事実が「脛に傷」となっている。

今日の韓国において、個人の請求権問題が再燃するのは、韓国国内にこのような政治的構図があるからだ。そして、現在の韓国では司法も請求権の問題に積極的に関与している。国際法の大原則をひっくり返してまで個人の請求権は消滅していないとするのは、人権意識の高まりという側面もあるのだが、韓国の司法の政治化しがちな現実を反映している。

民間企業としての考え方
今後の日本政府や日本企業は、徴用工問題にどのように対処すべきだろうか。まず、国のレベルでは、「戦争を終わらせる」ための原則から逸脱すべきではないだろう。

目の前に具体的な被害にあわれた方がいるときに、請求権の問題は解決済みという立場をとることは、いささか杓子定規に感じられるかもしれない。けれども、それこそが人類が積み上げてきた知恵なのだ。最近でも、ギリシャやポーランドがドイツに対して新たに補償を求めるような発言を行っている。ありていに言って、EU内でドイツが突出した経済力や政治力を持ちつつあることへの嫌がらせなのだが、いつまでも戦争を終わらせないことは全く建設的ではない。国家の一番の役割は、民間が自由に交流できるような平時をつくりだすことだからだ。

その上で、民間企業としての対応としてはリスクに見合った自己判断とならざるを得ないと思う。事実の問題として、日本政府がどれだけ原則論を主張したとしても、例えば韓国国内で徴用工への請求権問題が「解決」することはないだろう。仮に、政府間で合意が成立したとしても、民間企業が裁判の過程で被る費用や被害が補償されるわけでもない。企業からすれば、その市場でビジネスをする際のリスクやコストと、市場のポテンシャルを天秤にかけた経営判断にならざるを得ないのだ。

その意味で、参考になるのが三菱マテリアルによる中国の徴用工の遺族達との和解ではないだろうか。民間企業である三菱マテリアルは、非常にポテンシャルの大きい中国市場でビジネスを継続する上で、自らの経営判断として、被害者遺族と和解することを選択した。

日本企業にとって、アジア市場は主戦場だ。日本企業は、日本という国が有する高品質、安心、信頼などのブランドを享受しながら競争している。そして、日本ブランドには残念ながら負の側面があることもまた現実。日本政府は、北東アジアにおいて各国との友好関係を築ききれていない。結果として、国家間の関係がうまくいかないことのコストは、残念ながら民間企業にのしかかってくることになる。とすれば、企業に残された方針はただ一つ。民間の個々のプレイヤーは、国家レベルの原理原則論とは別のしたたかな経営判断に応じて、この問題を処理していくべきだ。

(執筆:国際政治学者 三浦瑠麗)

【FNN PRIME】https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180903-00010009-fnnprimev-int


これを書いた三浦という人がどんな人かは知りませんが、
アノ国の事をあまり理解していない事だけは分かります。
問題がいつまでも残っているのは全て韓国の責任。
日本は切り捨て、潰す方向で戦略的に行動すればいい。
アノ国との関わりは「百害有って一利なし」常識人の常識。

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