【中央時評】中国の中途半端な崛起

 強大国の歴史に照らしてみるならば中国の崛起は例外的だ。近代以降最強大国は1人当たり所得の面で最高水準だったかそれに近接した。スペイン、英国、米国がみんなそうだった。しかし中国は1人当たり所得は低いが人口が多いので大国になった。中国の人口は世界の人口の20%ほどで米国の4倍水準であるのに対し、1人当たり所得順位は190カ国あまりのうち70位圏にとどまっている。もし中国が最強大国になるならば発展段階が低い国が世界を主導する近代史で初めてのことが起きるわけだ。

 中国が米国を抜いてトップに出る可能性はどれほどになるのか。次の理由からその可能性は小さい。最初に、人口減少と高齢化のためだ。国連の報告書によると2050年の中国の人口は現在より2000万人増えるが米国の人口は8000万人増加する。さらに2050年に中国で65歳以上の人口が占める割合は27%で同じ年の米国の20%より高い。中国の高齢化は経済成長率下落につながり、人口減少が始まる2030年からは中国と米国の平均成長率は同水準になる可能性がある。また、日本は1人当たり所得4万ドル台で人口が最大値に到達し、韓国も3万ドル台でそうなるだろうが、中国は1万ドル台あるいは2万ドル台初めから人口が減る見通しだ。したがって中国の1人当たり所得が3万ドルを超えるのは容易ではない。中国の経済規模が米国より大きくなるにしてもそれは一時的現象にすぎないという意味だ。

 2番目に、中国が第4次産業革命を主導する可能性は小さい。英国と米国がそれぞれ第1次(蒸気力・綿織)、そして第2次(電気)と第3次産業革命(コンピュータ)の震源地だったという事実は、最強大国になるためには新しい産業技術を主導する能力がなければならないということを示唆する。技術間の融合と、モノと人との連結がカギである第4次産業革命を率いるためには優秀な人的資本だけでなく自由と自律を基礎に多様な実験が奨励され、これを柔軟な法と制度で後押ししなくてはならない。社会主義政治制度、官僚主義、深刻な腐敗が絡まっている中国が第4次産業革命を主導するのは難しいという言葉だ。さらに習近平主席は民主主義に進まなければならない時期にむしろ個人権力を強化している。

 3番目に、海外に伝播できる中国の価値と文化、制度が不足している。経済力、軍事力が強大国のすべてではない。全世界の人々が受け入れたい文化と制度を構築した国が最強大国だ。英国と米国が始めて発展させた民主主義と市場経済よりも良い制度を中国が作ることができるだろうか。極めて懐疑的だ。中国文化は世界で存在感を探しにくい。それだけではなく香港・台湾との関係、南シナ海問題、韓国のTHAAD配備に対する報復は中国政府の意識水準が21世紀ではなく19世紀にとどまっていることを見せてくれる。中国は国益のための当然の行動だと話すが、これはむしろ中国のイメージを悪化させ国益を阻害する逆説を生んでいる。

 米国に追いつくことができるという中国の錯覚は2008年ごろに始まったようだ。米国が金融危機によってふらつくとすぐ「韜光養晦」、すなわち光を隠して密かに力を育てた政策を捨て、外に出てきて洗練されていない力をあちこちに行使し始めた。しかし金融危機が米国の経済力が傾き始めたという信号弾で、トランプ大統領の当選が米国の制度の亀裂を知らせる兆しになれるが、米国は依然として中天に浮いている太陽のようだ。植民地を喪失して最強大国の地位を失った英国と違い、巨大な自国領土と革新力を結合した最初の国という点で米国が主導権を行使する期間は英国よりはるかに長いだろう。

 列強の中で苦しめられ生存を模索し統一まで念頭に置かなければならない韓国は一手ではなく何手も先を見通して数十年以降の世界秩序まで展望しなければならない。「親米か親中か、あるいは反米ならどうか」というレトリックは韓国にはあまりに高い贅沢品だ。むしろ二分法になじんだ韓国の思考と外交空間を、経済・安保・環境・文化など多層化された複合構造に変えなければならない。もし中国が「親中・反米」を提案し、その一環としてTHAAD配備撤回を要求するならばこれには「No」と言わなければならない。

 中国とのTHAAD摩擦は韓国政府の外交と対北朝鮮政策が一手先も見られなかったという証拠だ。しかし過去の政権の失敗も現政権が負って行かなければならない課題だ。韓米同盟を堅持し国の威厳を維持しなければならない。その一方で中途半端に崛起した筋肉質の中国を考慮する知恵も必要だ。経済だけでなく統一のためにもそうだ。THAADレーダーの探知距離を北朝鮮までに縮小したり、北朝鮮非核化の時点でTHAAD配備撤回を考慮するという約束などが交渉カードにできるだろう。

キム・ビョンヨン/ソウル大学教授・経済学部

【中央日報日本語版】http://japanese.joins.com/article/209/229209.html


中国の機関は各国のメディアをチェックしています。
こんな生意気な事を書いていると・・ またXXされますよ。

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