日韓政府が共感する「文喜相案」は、真の和解につながらない



11月になって日韓政府双方が色気を示し、発案者の韓国・文喜相国会議長も法案発議を明言するなど、にわかに現実味を帯びてきた日韓の和解案。その争点はズバリ「判決を無視した解決は可能か?」という部分にある。

--- 省略 ---

●市民団体・被害者たちは反発
だが、韓国社会には激しい逆風が吹いている。その出どころは過去、裁判を支えてきた市民団体と原告たちだ。27日、市民団体は国会前で記者会見を開き「文喜相案の即刻廃棄」を訴えた。

この日、元徴用工裁判の訴訟代理人を務める林宰成(イム・ジェソン)弁護士はまず、「文喜相議長側は被害者に直接説明し、意見を聞いたとしたが聞いていない」と述べ、手続き上の問題を指摘した。

さらに法案の内容については「この法案は、加害の歴史を清算するためのものではなく、被害者を清算するものであると感じた」と明かし、「加害者が認め、謝罪し、二度と繰り返さないと言い、記憶と資料を受け継いでいくという前提がいる」と主張した。

さらに「文喜相案には、日本がなぜお金を出すのかという内容が含まれていない」とし、「(18年の)大法院判決は無効化しろ、韓国政府が責任を取れという日本の立場から、少しだけ前進した案に過ぎない」と語った。

これはそもそも、「判決にしたがい日本側(被告の日本企業)が解決すべき問題を、なぜ韓国政府が腕をまくって解決しなければならないのか」(市民団体関係者)という根本的な問いを含んでいる。

イム弁護士は続けて「この法案がこんな方式で立法されるということは、それこそ多くの人の努力と苦痛、死をもって得た大法院判決が存在しないことよりもひどいことだ」と述べた。

さらに、「(韓国)政府が解決すべき問題が、日韓の葛藤しかないのか?被害者の人権を回復する方法を韓国政府が考えるべきではないのか?被害者の権利救済を行い、加害者の謝罪を受けることは大切ではないのか?」と韓国政府を強く批判した。

また『正義記憶連帯(旧:挺対協)』の李娜栄(イ・ナヨン)理事(中央大教授)も「惨憺たる状況だ」とし「文喜相議長が出てきて、日本に免罪符を渡そうとしている」と断じた。

李理事はさらに、「不法性の責任がない企業を引っ張りこむだけでも飽き足らず、『和解癒やし財団』までを含めることで『日本政府もお金を出す』という歴史に反する構想をしている。日本政府の責任はこれにより無くなることになる。なぜ加害国が考えて要請すべきことを、韓国の国会が積極的に物乞いするのか」と文喜相案に根本的な問いを投げかけた。

--- 省略 ---

●日韓政府は好感触?
「文喜相案」は10月に文喜相議長が日本を訪問した際に、早稲田大学で行った講演を基調としている。

文議長はこの席で「もはや韓日関係を取り戻す『新たな仕組み』を作る立法的な努力は、議会指導者の責務である」とする一方、「韓国国民の被害や心の痛みを韓国が先駆けて癒すという大前提から始めた。かつて苦痛を強いられた我が国民を国が癒さなければならない時期に至り、もはや大韓民国の国力も十分それに相応しくなったと思う」という立場を明かしていた。

日本は肯定的だ。

毎日新聞が先月27日に伝えたところによると、安倍首相は先月20日に首相官邸を訪れ「文喜相案」の説明をした自民党の河村建夫議員(日韓議連幹事長)に対し、「『強制執行の前に法整備できるんならいいよね』と理解を示し、秘書官に韓国大使館との情報共有を指示した」という。河村議員も韓国紙に対し「この解決策しかない」という旨のコメントを出している。

一方、韓国政府も前向きな姿勢を示すとされる。

●今からでもまともな議論を
12月1日、韓国メディアは「文議長側は今会期中での発議を目指している」という内容を報じた。国会の本会議は今月10日までだ。

法案の提出には国会議員10名の賛成がいるが、文喜相議長側は先月27日に超党派14人の議員と接触し「地ならし」を終えている。また、文喜相議長は「職権上程」という、法案をいきなり本会議での審議にかけられる強力な権限を有している。

だが現在の国会法において「職権上程」は、▲天災事変の場合、▲戦時・事変のまたはこれに準じる国家非常事態の場合、▲議長が各交渉団体(議席数20以上の政党)との代表議員と合意する場合の、三つに限られる。

これをどうクリアするのかが懸案となるが、ある与党関係者は「文議長がやるといえばできる」と筆者に耳打ちする。

だが、市民団体側は「被害者たちは賠償金でもない『寄付金』のために20余年のあいだ闘ってきた訳ではない。人間の尊厳がかかった人権問題をいくばくかの金で解決させる発想自体が、被害者を冒涜するものだ」(2日、民族問題研究所・金英丸対外協力室長)という姿勢を崩していない。市民団体側は今週後半に国会でオープンな会合を開く予定だ。

突然降ってわいた「12月までに解決」というアイディアをどう見ればよいのか。

筆者は「解決すべき」という原則には同意する。しかしこれを12月までに急ぐのは、完全に日韓の政治家による「野合」でしかないと見なす立場だ。「被害者優先」を訴えてきた文在寅大統領にも、大きな失望を覚える。

かつて国家論理の犠牲になった人々を、こんなうやむやな方法で救済できるはずがない。文議長側は「韓国が先に解決策を示すことで韓国の優位性を国際社会にアピールする」というが、あべこべな理屈付けに過ぎない。

繰り返してきたように、韓国政府・国会が再考すべきはもちろんのこと、解決を韓国側に丸投げしたような日本政府側の尊大な態度も責められるべきだろう。

昨年10月の判決以降、強制動員問題の解決のために日本政府と企業、さらに日本社会が被害者の人権と人間の尊厳についてまともに議論したことがあっただろうか。「文喜相案」の前に議論すべきことは山のようにある。

徐台教 ソウル在住ジャーナリスト

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20191202-00153367/


この記事中にある、安倍総理が理解を示し、「情報共有を指示」が本当ならとんでもない。総理がやるべき、言うべき事は「この問題にもはや日本は関係無い、韓国が解決せよ。以上」これしかありませんが。

  にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ
クリックして下さると嬉しいです。 by ポか~~んコアラ

スポンサーリンク