【コラム】武藤正敏氏には金素雲と違って意思疎通を図る姿勢がない



 『韓国人に生まれなくてよかった』という題名で元駐韓日本大使の武藤正敏氏が本を出したことが先週発表された。題名を見ただけでも韓国人をひとまとめにして非難する気持ちや「おまえたちはその程度でしかない」という冷笑の姿勢がはっきりとうかがえる。韓国駐在大使を務めていた当時は知韓派を自任し、韓国を「友人」と言っていた同氏の退職後のひょう変に多くの韓国人が失望した。北朝鮮の核問題というとてつもない脅威に共同で対処していくべき韓日両国の現実を考えると、元外交官として、してはならない仕打ちだとの声もある。

 武藤氏の本には耳傾けるべき内容がなくもない。同氏は、韓国新政権が核・ミサイル挑発を繰り返す北朝鮮を制裁する国際協調から離脱する可能性があると警告、韓国内の過剰な反日感情を懸念している。このように胸に刻むべき内容があるのにもかかわらず、忠告ではなく冷笑の姿勢を取ることで、誰も同氏の声に耳を傾けなくなってしまった

 隣国との間で互いに長所・短所や残念に思うことをあれこれと吐露するのは正常な意思疎通の図り方だ。韓国も日本に対してこれまで少なからず苦言を呈してきた。エッセイストであり詩人の金素雲(キム・ソウン)=1907-81年=は生前、日本にとって耳の痛いことをよく言っていた。6・25戦争(朝鮮戦争)時、日本の雑誌に韓国を非難する文章が掲載されると、金素雲は激怒して韓国紙に連載を始め、これをまとめた著書『木槿通信』を出した。彼はこの本で「重厚な徳性、含蓄ある襟度をこの国で見つけるのは至難の業だ」と、日本の狭量さを批判した。しかし、「韓国より進んでいる国」「勤勉な民族」という肯定的な評価も忘れなかった。さらに、「両民族が宿命的な感情の壁を崩し、人類の共通目的のため連携・協力」することを促した。「木槿(ムクゲ)の国から送る通信」を意味する題名からは、不愉快なことを言われた隣人の気持ちを推し量る深い配慮も感じられる。彼の文章は『雪国』でノーベル文学賞を受賞した作家・川端康成の紹介で雑誌「中央公論」に掲載され、日本社会に大きな反響を巻き起こした。武藤氏の本が「意思不通(意思疎通できないこと)」だとすれば、金素雲の本は日本人による韓国人侮辱に抗議する著者の気持ちを、日本人の耳に届かせた「意思疎通」の良い例だ。

「思わずミルコの画像を貼りたくなるような文章。元大使の本に何が書いてあるかは知りませんが、どんな言葉を入れようと、聞く耳は持たない。それが貴方達だ。」


 隣国間には数多くの恩讐(おんしゅう)が積もり積もっていかざるを得ない。その代表例が英国とフランスだ。両国は百年戦争・トラファルガー海戦、ナポレオンの大陸封鎖令などで激しく戦ってきた宿敵だったが、第二次世界大戦が発生すると、ナチスドイツという共通の敵を前にして力を合わせるすべも知っていた。英国は自国空軍機をフランスに向かわせてドイツと戦ったし、チャーチル英首相はフランスと対独抗戦を話し合うためドーバー海峡を往来し、ドイツの戦闘機に撃墜されそうになる危機も経験した。こうした努力が隣接した二国を堅く結ぶきずなになる。2011年の東日本大震災で日本が大きな困難に見舞われた時、韓国も寄付金を集めて救援物資を送り、隣人を一生懸命助けた。菅直人首相=当時=が「きずなに感謝する」という広告を朝鮮日報に掲載したことを、武藤氏も覚えていることだろう。

「どれだけ日本からの恩恵を受けていると思っている。イギリス?フランス?大震災?
そんなのは話にならない。すべては貴方がたが事実、真実を認めない。原因はすべてそこ。」



 隣国間にできた道は、志一つで良い道にも悪い道にもなる可能性がある。ソウルから釜山を経て下関・京都・東京に至る道には、長年のうちに両国の友好と憎悪が積もり積もってきた。旧韓末時代には人質としてとらえられていた英親王(李垠〈イ・ウン〉)が猿のような見物の対象となる恥辱を味わいながら、その道を歩いた。小説家の廉想渉(ヨム・サンソプ)は小説『万歳前』で、その道を「白い服を着た民」が「ヨボ」(朝鮮人をさげすむ表現)と呼ばれ、怒りをのみ込む場として描いた。しかし、その道は両国友好のための努力が宿る道でもある。昨年12月に韓国の大学生が「新・朝鮮通信使」を結成、この道をたどって日本の学生と会い、両国の信頼回復を祈った。いつか両国が現在の困難を克服する日が来るだろう。その時、武藤氏は隣国を不当にけなした著書を出したことを自身の経歴から消したくなるだろう。

世論読者部=金泰勲(キム・テフン)部長

【朝鮮日報日本語版】
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/06/09/2017060901531.html


愚痴みたいな文章を書いて、やり過ごすという事は出来ないの?
こんな本の内容は知りませんが、どこかの書き込みで見たのは
「貶したものではなく、競争が激しい韓国社会は自分には
勤まらない」みたいな感じらしい。上のコラムに書かれた内容を
見ても、物事を正確に理解する人ではなさそうですね。

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